ゴルフの体幹トレーニング|飛距離が伸びない原因は回旋にある
ゴルフで飛距離が伸びない原因の多くは、筋力不足ではなく、体を回す機能が足りていないことにあります。そして回す役割を担うべき場所が動かないと、その分を腰が肩代わりします。ラウンド後半に腰が重くなるのは、この構造が背景にあります。
スイングが安定しない。練習しているのに飛距離が変わらない。18ホールの後半になるとフォームが崩れる。
こうした悩みに対して、多くの方が「筋トレをすればいい」と考えます。ただ、体幹を鍛える前に確認しておくべきことがあります。そもそも、体が回るようになっているか、です。
Contents
ゴルフスイングは「回旋」で決まる

スイングは、体をねじって戻す動作です。ねじれる範囲が狭ければ、いくら筋力があっても飛びません。
ゴルフのスイングを分解すると、下半身で作った力が、骨盤 → 背骨 → 胸 → 腕 → クラブへと順番に伝わっていきます。この伝達の途中で回旋が止まると、力はそこで逃げます。
回旋を担当する主な場所は2つです。
背骨の胸の部分(胸椎)
背骨の中で、最もねじれる設計になっている場所です。左右それぞれ30〜35度程度回るのが一般的な目安とされています。
股関節
下半身と上半身をつなぐ関節で、内側と外側の両方向にねじれます。バックスイングでは右股関節が、フォローでは左股関節が回旋を受け持ちます。
この2か所が本来の役割を果たしていれば、腰は「支える」ことに専念できます。
腰は本来、あまり回らない関節です
ここが最も重要なポイントです。
腰(腰椎)が回旋できる範囲は、左右それぞれ5〜13度程度とされており、胸椎と比べると非常に小さくなっています。腰は回るための場所ではなく、安定して支えるための場所だからです。
ところが、胸椎と股関節が硬くなると、体は足りない回旋をどこかで作ろうとします。その結果、本来ほとんど回らないはずの腰が、無理に回旋を肩代わりします。
これが、ゴルファーに腰痛が多い理由の一つです。
「体幹を鍛えれば腰痛が治る」と考える方は多いのですが、順番が逆です。回るべき場所が回らないまま腰まわりを固めても、腰への負担は減りません。まず回旋を取り戻し、その上で支える力を高める。この順番が必要です。
飛距離が伸びない4つのパターン
体幹が弱いのではなく、力の通り道が途切れているケースがほとんどです。
- 軸ブレ:スイング中に上体が左右へ流れ、インパクトの位置が毎回変わります。方向性が安定しません。
- 手打ち:下半身の力が上体に伝わらず、腕だけで振る動きになります。ヘッドスピードが上がりません。
- 捻転差が作れない:下半身が先に動き、上体が後から追いかける時間差(捻転差)が、飛距離を生みます。胸椎が回らないと下半身と上体が同時に回ってしまい、この時間差が消えます。
- タイミングのずれ:連動の順番が崩れ、当たりが薄くなります。
いずれも、フォームの修正だけでは根本的に解決しにくい問題です。体の構造が原因なら、その構造を先に整える必要があります。
自宅でできる回旋セルフチェック

まず、自分の回旋がどれだけ残っているかを確認してください。
すべて安全な範囲で行い、痛みが出たら中止してください。スマートフォンで撮影しておくと、後で比較できます。
チェック1:座位での胸椎回旋
- 椅子に浅く座り、両膝をしっかり閉じる(骨盤を固定するため)
- 胸の前で腕を組む
- 骨盤を動かさずに、上体だけを左右にゆっくり回す
判定の目安
- 45度未満(正面から見て体が浅くしか回らない):胸椎の回旋がかなり制限されています
- 45〜60度程度:一般的な範囲です
- 左右差が10度以上ある:スイングの左右で動きの質が変わっている可能性があります
膝が開いてしまう方は、骨盤ごと回って数字が水増しされています。膝を閉じた状態を保ってください。
チェック2:四つ這いでの胸椎回旋
- 四つ這いになり、片手を後頭部に当てる
- 肘を天井方向へ開くように、上体をねじる
- 腰が反らないように注意する
肘が天井を向くところまで回れば良好です。真横までしか行かない場合、胸椎の回旋に改善の余地があります。
チェック3:股関節の内旋
- 椅子に座り、片脚を膝90度のまま、かかとを外側へ動かす(すねを外に開く動き)
- 骨盤が浮かないように注意する
左右差が大きい、または明らかに動かない側がある場合、その側のスイングで腰が代償している可能性があります。
チェック4:肩の可動域(アプレイスクラッチ)
片手を頭の上から背中へ、もう一方を腰の下から背中へ回し、左右差を確認します。届きにくさは、肩まわりの回旋制限のサインです。
2つ以上当てはまるなら、筋トレより先に、回旋を取り戻す取り組みから始めることをおすすめします。
回旋を取り戻す3つのエクササイズ

順番は、回す → 支える → つなげる、です。
ステップ1:回す(オープンブック)
- 横向きに寝て、上の膝を90度に曲げて前に出す(クッションの上に置くと安定します)
- 両腕を前に伸ばして揃える
- 上の手を、大きく円を描くように反対側へ開いていく
- 目線は手を追いかける
- 開ききったところで3秒止め、ゆっくり戻す
左右10回ずつ。
ポイント:骨盤と膝は動かさないでください。膝が浮くと、胸椎ではなく腰が回ります。息を吐きながら開くと、より回りやすくなります。
ステップ2:支える(デッドバグ)
回旋を取り戻したら、その動きを支える力を作ります。プランクより先に、こちらを推奨します。腰が反りにくく、体幹の使い方を学びやすいためです。
- 仰向けで両膝を90度に上げ、両手を天井方向へ伸ばす
- 腰と床の隙間をなくすように、お腹に軽く力を入れる
- 右手と左脚をゆっくり伸ばし、床すれすれで止める
- 元に戻し、反対側を行う
左右10回ずつ。
ポイント:腰が床から浮いたら、それが今の限界です。手足を伸ばす距離を短くしてください。回数より、腰が浮かないことを優先します。
ステップ3:つなげる(ヒップヒンジ+回旋)
- 足を肩幅に開き、背中をまっすぐ保ったままお尻を後ろに引く(アドレスに近い姿勢)
- その姿勢を保ったまま、上体をゆっくり左右にねじる
- 骨盤の高さが変わらないように注意する
左右8回ずつ。
アドレス姿勢での回旋を再現する種目です。実際のスイングに最も近い動きなので、感覚をつかんだら素振りの前に入れてみてください。
所要時間は3種目で5〜7分です。
続けるための頻度と目安
| 時期 | 取り組みの目安 | 感じやすい変化 |
|---|---|---|
| 開始〜2週間 | 週2〜3回・1回5〜7分 | 動かしている場所への意識が高まる |
| 3〜4週間 | 週2〜3回を継続 | セルフチェックの角度に変化が出る |
| 1〜2カ月 | 種目を少しずつ追加 | 素振りでの体の使い方が変わる |
| 3カ月以降 | 習慣として維持 | ラウンド後半の疲れ方に違いを感じる方も |
変化の速さには個人差があります。数値はあくまで目安としてご覧ください。
ラウンド前の5分で、後半の疲れ方が変わります
朝イチのティーショットが乱れるのは、技術ではなく体が起きていないことが原因の場合があります。
早朝に起きて、車で1時間以上運転してゴルフ場へ向かう。この時点で、股関節はずっと曲げっぱなし、背中は丸まったままです。そのまま数回素振りをして1番ホールへ、という流れをよく聞きます。
回旋を担当する胸椎と股関節が固まった状態でフルスイングすれば、足りない分を腰が肩代わりします。朝イチで腰に違和感が出る方は、この可能性があります。
スタート前の5分で、次の順番を試してみてください。
- 歩く(2分):クラブハウスから練習グリーンまで、大股で歩くだけで構いません。股関節を動かす一番簡単な方法です。
- 立位の胸椎回旋(30秒):クラブを肩に担ぎ、膝を軽く曲げて、上体だけを左右にゆっくりねじります。反動をつけず、10往復ほど。
- その場での股関節回し(30秒):片脚を上げ、膝で大きく円を描きます。前回りと後ろ回り、左右それぞれ5回ずつ。
- ヒップヒンジ(30秒):お尻を後ろに引く動きを10回。アドレス姿勢の確認になります。
- ゆっくりした素振り(1分):最後に、フルスイングではなく、ハーフスイング程度でゆっくり振ります。可動域の確認が目的です。
車移動が長い前橋近郊のゴルフ場では、この5分の有無で後半の体の残り方が変わります。
年代によって、優先すべきことが違います
同じ「飛距離が伸びない」という悩みでも、年代によって背景が異なります。指導の現場で感じることなので、参考程度にご覧ください。
30〜40代
筋力は残っているのに飛距離が頭打ちになる時期です。この年代で多いのは、デスクワークによる胸椎の硬さです。
力はあるのに回らないため、腕で振る動きになりがちです。優先すべきは筋トレより回旋の回復です。実際、可動域が戻るだけでヘッドスピードが変わる方もいます。
50代
回旋の制限に加えて、お尻の筋肉が働きにくくなってくる時期です。「昔と同じつもりで振ったら腰を痛めた」という経験が増え始めます。
この年代からは、回旋を取り戻す作業と、支える力を作る作業の両方が必要になります。片方だけでは足りません。
60代以降
可動域とバランス機能の低下が重なります。片脚立ちが不安定になると、スイング中の重心移動が安定しません。
この年代では、飛距離を追いかけるより、18ホールを痛みなく回りきれる体を保つ方が優先度が高くなります。片脚バランスの練習を日課に入れるだけでも、ラウンド後半の安定感が変わってきます。
いずれの年代でも共通するのは、「動かなくなってから戻す」より「動かなくさせない」方が労力が少ないという点です。
やりがちなNG
- 腰を反らせて回る:胸椎が回らない分を腰で作ってしまう、最も多いパターンです。腰への負担が増えます。
- 呼吸を止める:息を止めて力むと血圧が上がりやすくなります。特に中高年の方は、自然な呼吸を保ってください。
- 片側だけやる:ゴルフは片方向へのスイングを繰り返す競技なので、もともと左右差が生まれやすくなっています。トレーニングでは必ず両側行ってください。
- 痛みを我慢して続ける:伸びる感覚と痛みは別物です。痛みが出たら中止してください。
- プランクから始める:プランクは体を固める種目です。回旋が足りていない状態で固める練習を先にすると、動きにくさが増すことがあります。回旋を取り戻してから取り組む方が順番として合理的です。
腰に不安がある方へ
ラウンド後や練習後に腰が重くなる、朝起きたときに腰がつらい。こうした方は、トレーニングを始める前に一度状態を確認してください。
腰痛の背景は人によって異なります。椎間板の問題、椎間関節の問題、筋肉の張り、姿勢の癖。原因が違えば、避けるべき動作も変わります。同じメニューが全員に合うとは限りません。
鋭い痛み、しびれ、夜間に痛みで目が覚めるといった症状がある場合は、運動より先に医療機関へご相談ください。
前橋でゴルフのための体を整えるなら

自己流で取り組んでみたが変化を感じない、腰への不安がある。そうした方には、一度専門家に評価してもらうという選択肢があります。
プライベートジムDROIT前橋広瀬川では、初回にトレーニングを行いません。まず身体の評価から始めます。
回旋を含めた評価を行います
立った状態での背骨の前屈・後屈・側屈・回旋。片脚バランス(目を開けた状態と閉じた状態)。肋骨の角度。呼吸時に胸とお腹のどちらが先に動くか。背骨の圧痛。首まわりの筋膜の動きやすさ。
これらを一つずつ確認していきます。
ゴルフの場合、特に重要なのが回旋と片脚バランスです。スイングは片脚に体重を乗せながら回る動作の連続なので、この2つの評価結果がそのままスイングの安定性に関わってきます。
同じ「飛距離が伸びない」という悩みでも、原因は人によって違います。胸椎の問題なのか、股関節の問題なのか、呼吸のパターンが影響しているのか。ここを見極めないまま同じトレーニングを続けても、遠回りになりかねません。
専門分野ごとに担当が分かれています

DROITが他の多くのパーソナルジムと異なるのは、運動・食事・医学的評価を1人のトレーナーが兼任しない体制を取っている点です。
- 運動指導:代表の池田道成が担当します。NSCA-CPT、腰痛運動療法セラピストの資格を持っています
- 食事指導:管理栄養士の里中まいが担当します
- 医学的なリスク評価:医師の武井克仁が担当します
理由は率直です。トレーナーは運動の専門家であって、栄養の専門家ではないからです。医学的な判断も同様で、腰に不安がある方にリスク評価をせず負荷をかけるのは、私たちの考え方とは相容れません。
関節への負担を抑えたトレーニング

トレーニングでは、ピラティスマシン(リフォーマー等)も活用します。バネの抵抗で負荷を細かく調整でき、寝た姿勢や四つ這いでも行えるため、腰に不安のある方でも回旋と体幹にアプローチできます。
完全個室・マンツーマンの環境なので、周囲の目を気にせず取り組めます。DROITに通われている方のほとんどは、もともと運動経験のない方です。
前橋市城東町で、個人事業として始めてから12年、店舗を構えてからは10年目になります。これまでDROITで500名を超える方の指導にあたってきました。うち経営者の方は300名を超えます。
ゴルフをされる経営者の方は少なくありません。「接待で恥をかきたくない」「取引先との一日を最後まで気持ちよく回りたい」という理由で来られる方もいます。スコアそのものより、18ホールを疲れずに回りきれる体を求めている、という声が実際には多い印象です。
よくある質問
Q. 体幹を鍛えれば飛距離は伸びますか
A. 回旋の可動域が確保されていれば、体幹を鍛えることで力の伝達効率が上がる可能性があります。ただし、回旋が制限されたまま体幹だけを固めると、かえって動きにくくなることがあります。順番が重要です。
Q. 腰痛持ちですがゴルフを続けられますか
A. 状態によります。まずは医療機関で原因を確認した上で、避けるべき動作を把握することをおすすめします。その上で、腰以外の場所で回旋を作れるようにしていく取り組みが有効な場合があります。
Q. 何歳からでも回旋は改善しますか
A. 年齢に関わらず、動かしていない範囲は取り戻せる余地があります。ただし変化の速さには個人差があり、長年動かしていない期間が長いほど時間はかかります。
Q. 練習量を増やす方が早いのでは
A. 回旋が制限されたまま素振りを繰り返すと、その動き方が定着します。制限がある状態での反復は、崩れたフォームを上達させることになりかねません。
まとめ

ゴルフの上達は、腕の力よりも体をどう回すかで大きく変わります。
胸椎と股関節が本来の役割を果たしていれば、腰は支えることに専念できます。逆にこの2か所が動かないと、腰が回旋を肩代わりし、負担が集中します。
まずはセルフチェックで現状を把握し、回す → 支える → つなげるの順番で5〜7分のルーティンを続けてみてください。週2〜3回のペースを崩さないことが、遠回りに見えて近道です。
自己流での限界や腰への不安を感じたときは、一度身体の状態を評価してもらうことをおすすめします。
現在の状態を確認したい方は、初回アセスメント(有料体験コンディショニング・5,500円)をご利用ください。
回旋の可動域、片脚バランス、呼吸のパターンまで確認した上で、今のあなたのスイングに必要なトレーニングの方向性をその場でお伝えします。
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